5年以内に使う予定のお金があると、
「5年くらいあるならNISAで増やしてもいい?」
「全部普通預金で持っているのはもったいない?」
「3年後の住宅資金でも、一部ならNISAへ入れていい?」
と迷うことがあります。
よく使われる目安は、
5年以内に使うお金は現金、長期間使わないお金は投資
という分け方です。
ただし、5年という数字そのものに特別な境目があるわけではありません。
4年11か月なら投資してはいけない。
5年1か月なら投資していい。
という制度ではありません。
本当に確認したいのは、
その日に最低いくら必要なのか
値下がりしていたら支出を延期できるのか
必要額の一部をほかの収入から補えるのか
です。
5年以内でも、予定を動かせるお金なら一部を運用する余地があります。
逆に6年後でも、絶対に必要な金額なら現金を厚くする意味があります。
「5年以内なら現金」は分かりやすいが、NISAのルールではない
NISAには、
「5年以内に使うお金を投資してはいけない」
という制度上の決まりはありません。
NISAは投資による利益を非課税にする制度です。
購入した投資信託や株式は値上がりする可能性がある一方、値下がりすることもあります。
そのため、近いうちに必ず必要になるお金は、値下がりしたときに回復を待てないことが問題になります。
たとえば現在300万円あり、
5年後に住宅頭金として300万円必要
だとします。
300万円をNISAで運用し、住宅購入直前に240万円まで下落すれば、60万円不足します。
問題は、
5年という期間が短かったこと
だけではありません。
300万円を5年後に必ず用意しなければならなかったこと
です。
同じ「5年後」でも答えは変わる
たとえば次の2人がいるとします。
Aさんは、
5年後に子どもの大学進学
200万円必要
時期は変更できない
Bさんは、
5年後くらいに車を買い替えたい
予算200万円
今の車が使えれば2〜3年延期できる
どちらも「5年後に200万円」です。
しかし、投資できる余地は同じではありません。
Aさんは、相場が下がったから大学進学を2年延期するという選択が難しいでしょう。
Bさんなら、購入時期や車の予算を変更できる可能性があります。
だから、
何年後かより、値下がりしたとき予定を動かせるか
を見る必要があります。
現金で残すのは「予定額全部」とも限らない
たとえば4年後に住宅購入を予定していて、
頭金として300〜500万円くらい使いたい
とします。
最低300万円は必ず必要。
残り200万円は、余裕があれば頭金を増やしたい。
という場合です。
この場合、
最低限必要な300万円は現金
として確保し、
残り200万円については、
- そのまま現金
- 一部運用
- 住宅以外の長期資金としてNISA
を考える余地があります。
500万円全額を同じ性質のお金として扱う必要はありません。
重要なのは、
「使う予定額」と「絶対に必要な最低額」を分けること
です。
逆に「5年後だから半分くらいNISA」も危ない
一部投資という考え方は使えますが、
「5年あるから半分」
と機械的に決めるわけではありません。
たとえば、
5年後に500万円必要
現在500万円しかない
なら、必要額と手元資金がほぼ同じです。
この状態で250万円を投資すると、値下がりしたときに必要額を割り込む可能性があります。
一方、
5年後に500万円必要
現在1,000万円ある
生活防衛資金も別に確保済み
なら、500万円を現金で確保したうえで、残りを長期資金として運用することができます。
同じ5年後でも、
必要額に対して手元資金がどれだけ余っているか
で変わります。
使うまで3年でも、今から毎月貯めるお金はどうする?
たとえば3年後に車を買う予定で、
目標180万円。
これから毎月5万円ずつ貯めれば、
5万円×36か月=180万円
になります。
この毎月5万円を、
「3年間あるから一部NISA」
とするかは慎重に考えます。
180万円が車購入のために必要なら、その積立自体が目的資金です。
投資して増えれば200万円になる可能性がありますが、150万円になる可能性もあります。
つまり、
目標額を達成するために必要な積立金まで投資へ回す必要はありません。
NISAは、
目標資金を確保したあとに余る分
から考える方が整理しやすくなります。
5年以内でも「使わない可能性が高いお金」は別
予定といっても、確定度には差があります。
たとえば、
「5年以内に家を買うかもしれない」
だけで、
時期未定
購入するかも未定
必要額も未定
なら、500万円全額を住宅資金として現金にしておく必要があるとは限りません。
一方、
売買契約予定が決まっている
頭金額もほぼ確定
なら、現金の必要性は高くなります。
つまり、
予定があるか
ではなく、
予定がどこまで具体化しているか
も判断材料です。
住宅・教育費・車では「延期できる度合い」が違う
5年以内の代表的な支出を並べると、違いが見えます。
| 予定 | 時期 | 延期しやすさ | 現金を確保する必要性 |
|---|---|---|---|
| 大学入学金 | ほぼ固定 | 低い | 高い |
| 住宅頭金 | 契約前なら変更可能な場合あり | 中程度 | 必要額は高い |
| 車買い替え | 車の状態による | 比較的高い場合あり | 条件次第 |
| 旅行 | 自由に変更しやすい | 高い | 比較的低い |
| 住宅修繕 | 故障状況による | 大きく異なる | 条件次第 |
同じ5年以内でも、全部を同じ扱いにする必要はありません。
「5年運用すれば元本割れしにくい」からNISAでいい?
ここも注意したいところです。
長期・積立・分散によって価格変動リスクを抑えることは期待できます。
しかし、
5年間持てば元本割れしない
という保証はありません。
NISAも元本保証制度ではありません。
しかも、5年後のある1日に必ず売らなければならない場合、その日の市場価格の影響を受けます。
だから、
「5年間運用できる」
だけでは不十分です。
5年後に下がっていたら、さらに待てるか
まで考えます。
5年後に使うなら途中から現金へ移す方法もある
「今から5年間ずっと現金」
と
「5年間ずっと株式型投資信託」
の二択にする必要もありません。
たとえば使用予定がまだ5年先で、時期に多少の余裕があるなら、
最初は一部運用
↓
予定が具体化
↓
必要額を徐々に現金へ移す
という方法も考えられます。
住宅購入なら、
「5年以内に買いたい」
という段階と、
「来年購入する」
という段階では、同じお金でも役割が変わります。
予定が具体化するほど、
増やすお金から守るお金へ
移していきます。
ただし「現金化を始めるのは3年前」などの正解はない
では、
「何年前から現金にすればいい?」
となります。
ここにも一律の年数はありません。
たとえば、
500万円絶対必要
購入時期も固定
なら早めに確保する意味があります。
一方、
100万円程度あればよい
時期は2年ずらせる
なら運用を続ける余地があります。
つまり、
現金化の時期も、残り年数だけでは決まらない
ということです。
NISAで増えたら使う、減ったら使わないお金なら投資しやすい
投資に向きやすい予定資金もあります。
たとえば、
5年後に海外旅行したい
100万円あれば豪華にする
50万円なら国内旅行でもいい
相場が悪ければ翌年でもいい
というお金です。
これは、
必要額も時期も変更できます。
このような支出なら、投資結果に合わせて使い方を変えることができます。
一方、
大学入学金200万円
期日までに必ず必要
という資金は変更できません。
この違いは大きいです。
予定資金とは別に生活防衛資金も残す
5年以内の予定資金を確保するとき、生活防衛資金と一緒にしないことも重要です。
たとえば、
生活防衛資金100万円
3年後の車150万円
なら、
現金250万円
を考えます。
「車代150万円があるから、緊急時にはそこから使えばいい」
とすると、緊急事態が起きた後に車資金が不足します。
反対に、
生活防衛資金100万円だけ残し、それ以外をNISA
とすると、車購入時に相場次第で売らなければならなくなります。
目的ごとに分けておく方が判断しやすくなります。
「5年以内」の本当の境目は年数ではない
5年以内に使う予定のお金については、次の3つで考えると整理できます。
最低必要額はいくらか
必ず200万円必要なのか、100〜200万円で調整できるのか。
使う時期を延期できるか
5年後で固定なのか、7年後でもいいのか。
値下がりしたとき別の方法で補えるか
今後の給与から補えるのか、それともその資金だけで用意する必要があるのか。
この3つすべてに余裕がないほど、
現金で確保する意味が大きくなります。
逆に柔軟性があるほど、一部をNISAで運用する余地が出てきます。
まとめ
「5年以内に使うお金は現金」
は、分かりやすい目安です。
ただし、
5年という数字そのものがNISAと現金を分ける制度上の境目ではありません。
本当に確認したいのは、
その日に最低いくら必要か
値下がりしたら予定を延期できるか
不足しても別の収入から補えるか
です。
5年後に絶対500万円必要で、手元にも500万円しかないなら、現金を確保する意味は大きくなります。
一方、
5年後に200万円くらい使いたいが、時期も金額も変更できる
なら、一部を運用する余地があります。
また、
使う予定額の全部を同じ扱いにする必要もありません。
絶対に必要な最低額は現金。
それを超える部分は、使用時期や家計状況に応じてNISAを検討する。
という分け方もできます。
だから、
「5年以内だから全部現金?」
「5年あるからNISAでも大丈夫?」
ではなく、
「5年後に相場が下がっていたら、この予定を変えられる?」
と考える。
そこまで確認すると、NISAへ入れてよいお金と現金で残すお金を分けやすくなります。
関連記事
NISAは銀行預金より優先する?使う予定のお金は現金で残す?
NISAを始める前に目的を決める?老後・住宅・教育費で変わる?
NISAを始める前に貯金はいくら残す?生活防衛資金との分け方
貯金が少なくてもNISAを始める?まず現金を貯める?
出典
政府広報オンライン|お金の勉強をしませんか?社会人として知っておきたいお金の話
この記事は、2026年9月時点の金融庁・政府広報等の公的情報をもとに作成しています。
